星野泰啓理事長より(7)

 昨年は「平成から令和」への改元から始まり、新天皇陛下の即位の礼等、各種行事が続いて行われました。国会では参議院選挙があり、重い障害のある二人の国会議員が生まれ、これまでと違う様々な変化が生じ、意味の大きな発信がなされています。そして強制不妊救済法とハンセン病患者家族補償法の成立に見る深い課題、車社会の歪みからの高齢者運転事故やあおり運転の問題、連続した台風による災害と大きな被害と問われる対策、パリのノートルダム大聖堂火災に続いての首里城火災が起きました。世界に目を向けてみると北朝鮮情勢や日韓問題、英国のEU離脱問題、香港の逃亡犯条例改正案から始まる混乱、貿易摩擦、格差の拡大等々、不安が広がり「これまで・今・これから」に向けての大きな課題が山積しました。


 さて、年頭のご挨拶にも書かせて頂きましたが、五六年ぶりの東京オリンピック、パラリンピックの年です。ここではパラリンピックに焦点をあててみます。その始まりは一九四八年ロンドンオリンピック開会式当日、英国の病院で障害者リハビリの一環として競技大会が行われ、やがて国際大会となり、一九八八年ソウル大会で「パラリンピック」が正式名称と決まり、二〇〇〇年にオリンピック開催国は終了後にパラリンピックを開催することとなりました。その意味はパラレル(下半身麻痺)とオリンピックの合成語からで、そしてパラには「もう一つの」という意味もあり、もう一つのオリンピックとも言われています。パラリンピックの旗等にあるシンボルは、人間の最も大切な三要素の心(スピリット) 肉体(ボディ) 魂(マインド)を赤、青、緑の三色で表し、勇気 (負の感情に向きあい克服しようとする精神) 強い意思(難
題に対して諦めず限界を突破しようとする力) インスピレーション(心を揺さぶり駆り立てる力) 公平(多様性を認める力)の四つの価値を重視すると定めています。


 我国でも、一九五〇年代、当時国立別府病院整形外科医であった故中村博士(大分県「太陽の家」創設者)が、患者のリハビリテーションの一環としてスポーツに取り組まれ、一九六一年大分県身体障害者体育大会を実らせ、五十六年前の東京パラリンピックにつなぎ、一九八一年国際障害者年の記念行事として大分国際車椅子マラソン大会が始まり、現在も世界最大・最高のレースと評価されています。


 障害のある人の社会参加、世界の平和、「すべての人の社会」につなぐ大切さを噛み締めたい。

 

社会福祉法人よるべ会
理事長 星野泰啓


※よるべ会広報誌「かわらばん」令和2年新春号に掲載の「ふわふわ」より転載

2020年01月01日