星野泰啓理事長より (5)

今 この瞬間の 一人ひとりの懸命さを大切にする原点を

 新年のご挨拶にも書かせて頂きましたが、「よるべ会」は今年の秋で三十五歳になります。
 この間を振り返り、一言で言えば「様々な要請にひたすら応え続けて来た時間」と思っています。利用者の変化とその願いに、行政や地域社会の要請に・・・と応え続けているうちに今の姿になってきました。幸いに時流に乗って勢いづいて進んで来た感もあります。勢いづいている時は、怖いもの知らずで、余り近くを見ず、調子に乗って側の人の事も考えず、我がまま勝手に突き進んで来た時もあり、それで思わぬしっぺ返しに出会い、後で取り返しのつかない事に気づかされることがあります。ただ、ひたすらに懺悔するしかありません。

 五年前のこのコーナーに書いたことを思い出します。
 ──若い頃に「人は人との関係の中で存在が生まれる」と教えられた・・・良き存在は、良き生き方の中で生まれ、良き関係が大切になる。良き関係づくりは私自身の弱さ、欲、業とからみ合い難しい。逃げてばかりいる自身に気づくことが常である・・・人を受け止める、関わり合う、良き関係づくりを続ける、それは本当に難しいことだけど少しずつでも続けていくためにその心を持ち続けたいと念ずる──。
 今一度、読み直して考えてみました。勢いづいて調子に乗っていた頃と少し違ってきた自身に少し気づき始めていることを感ずると共に、あらためて今、これまでのその時々に側にいてくださった方々の想いを掘り返しながら今日を、そして明日につないでいくことを大切にしていきたいと切に願っています。

 これも教えられたことですが、マザーテレサは「愛というものは一人と一人の間にだけ働くのです」と言い、そして「大海も一滴のしずくの集まりです」と伝えています。
 今この瞬間の一人ひとりの懸命さを大切にする原点を、もう一度しっかり刻み直していこうと思い改め始めるところです。

社会福祉法人よるべ会 理事長
星野泰啓

※よるべ会広報誌「かわらばん」平成31年新春号に掲載の「ふわふわ」より転載

2019年01月10日